オーガニック

Organic 2006

Street mothers
エジプトのカイロに住む16才のアハメド・ハディアは生まれたばかりの赤ん坊を抱きかかえながら安堵の表情を浮かべている。
数カ月前、家を飛び出していたハディアは独りカイロの路上で出産の準備をしていた。しかし、そこは暴力や麻薬、性的虐待が横行するカイロの無法地帯。行くあてもなく迷い歩き、すべてを諦めかけた時、彼女はストリート・マザーのための避難所を見つけた。そこはエジプトの子供達を支援する福祉団体「Hope Village Society」が運営するリハビリ・センターだった。
その後、ハディアは無事に赤ん坊を出産。「もし、このセンターがなかったら私たちはどうなっていたかわからない」「ここのスタッフには出産前から分娩まで本当におせわになった」と彼女は語る。
ハディアのケースは珍しい話しではない。エジプトの主要都市では貧困と家族の分裂によって20万から100万人とも言われる子供達が路上での生活を余儀なくされている。そして、その数は増え続けているのだ。
さらに、多くのエジプト人が彼らストリート・チルドレンを小さな犯罪を犯す厄介物として見なし、社会全体がそれらの子供達に対して無慈悲な傾向にある。
ストリート・チルドレンの取り巻く環境はコレラ、結核、貧血といった健康障害をも引き起こす。さらに多様な虐待も受ける。「Hope Village Society」はストリート・マザーをサポートする一方で、ストリート・チルドレンにシャワーや食べ物を与えている。そこで一時の食事を得た子供達は再び灼熱の太陽が照りつけるハイウェイを横切り、街に戻って車の窓を拭いたり、ティッシュ箱を売ったりする。それらはエジプト・カイロの生活の一部なのだ。
しかし、ハディアのような少女たちにはまだ再スタートするチャンスがある。彼女たちは21才になるまでにリハビリ・センターを出て行かなければならない。その時までに読み書きを学習し、カーペット織り、ろうそく作り、調髪などの職業訓練を受けて自立する準備をする。それは彼女達の子供を育ててゆくためでもあり、その子供達がストリートに逆戻りしないためでもある。
11 Jun 2006