オーガニック

Organic 2006

Green Teens clean mean streets
インドでもっとも貧しい州のひとつビハール州。その混沌とした州都パトナ(Patna)の子供たちが10エーカー(約4千平方メートル)の土地を緑のオアシスへと変えた。パトナには推定で2千人に1本の割合でしか樹木がない。そんな街に数千人の子供たちが自発的に協力し合い50種類以上の樹木を植樹したのだ。
彼らはタルミトラ(TaruMitra)と呼ばれるヒンディー語、梵語で「木の友人たち」を意味する学生の環境保護団体に属する。1988年に始ったこの運動はインド国内に広がり、今は600以上の高校や大学に2十万人以上のメンバーを抱える団体となっている。
公害に悩まされている街で活動をしている学生のひとり14才のアチャラ・パルマールさんは「周りの人たちが何もしないのなら、自分達で行動を起こすべきだと考えた」という。彼らは都市の主要な道路を清掃し、25箇所で小さな造園作業を行った。
ガンジス川流域に位置するパトナにはそこから運びだされる土砂を運ぶトラックの往来が絶えない。かつてトラックの荷台にはカバーもなく街は汚される一方であった。子供たちはトラックを1台ずつ止めては荷台を確認し、カバーのないトラックを当局に通告して、時には運転手に罰金を課したりもした。
1993年には21才のボランティアの青年が酒に酔った男に発砲され死亡する事件も起こったが、彼らの活動精神は決して揺らぐことはなかった。そしてタルミトラは国連や国際環境保護団体からも称賛を得るようになり、子供たちによる環境改善のモデルにもなっている。
ビジネススクールに進学を希望している15才のアビシェクくんはインド北西部の乾燥したラージャスターン州での活動を模索中だという。「私たちは自然愛好者の軍隊を作って、その退廃を改善しなければならない」「そのすべては私たちの手にある」と彼は静かに語った。
10 Dec 2006