オーガニック

Organic 2008

Fatal taboo
アフリカ大陸で最も人口が多いナイジェリアでは非合法な中絶で1日平均27人の女性が命を落としている。
21才のある女性は自分が妊娠したことを知って母親から数千ナイラ(約40ドル)を盗みとった。それは非合法な妊娠中絶をおこなうための費用。1日300ナイラ(2.5ドル)の彼女の収入では子供を養っていけないからだ。「それは吐き気をともなった異常な苦痛で、とても悲しくなった」と彼女はいう。医者は専門医でもなく、その資格も持っていない。それでも彼女は命があっただけ幸運なのである。
ナイジェリアで非合法な中絶のために命を落とす女性は年間1万人といわれ、世界保健機構(WHO)に定義されている性と生殖に関する健康(reproductive health)を提言する非営利団体「Guttmacher Institute」によれば、世界で同じように命を落とす女性の6分の1にあたるという。
ナイジェリアでは母体に危険や正当な理由がない限り妊娠中絶は非合法とされている。しかし、年間75万人が中絶しているといわれ、同団体はそのうち45万以上の不衛生な中絶が施されていると推定している。
多くの女性が慣習的な治療者のもとへ駆け込む。その方法は鋭い金属のスティックを使って子宮の中の羊膜を破る作業を含む。感染を起こしたり、最悪の場合は体内組織を死滅させることもある。「彼らは腸を引き抜いている」と言うのが、女性の生殖の権利を安全に保つために働いている国際組織「Ipas」の婦人科医オジョ氏。「もう一つの方法はみょうばんのような有毒な化学混合物を送り込むことである」「女性たちはそのショックで死に至る」という。
ナイジェリアで妊娠中絶はタブーな話題である。多くの女性はそのことを語ろうとはしない。すでに多くの子供を持っている女性は中絶を認められるが、若い女性には認められない。通常に医者のクリニックで手術するには169ドルの費用がかかる。それは彼女たちにはとても高額なものだ。
保守派による法律を変える試みもナイジェリアの道徳感を弱め乱交を促進するとして差し止められた。「多くの妊娠中絶を利用可能にすることが答えではない」「女性たちが身体の権利につて正しい教育を受け、家族計画ができるようになることが必要だ」とある女性の下院議員はいう。
25才の学生シャーリーさんは妊娠中絶をしたおかげで学業を続けることができた。しかし、いまは神の掟に背いてしまったと後悔しているという。
7 Apr 2008