オーガニック

Organic 2009

Death valley
国土のほとんどは山岳地帯、かつて文明の十字路だった中央アジアのタジキスタンにふたたび国際社会が注目しはじめた。
その首都ドゥシャンベから南東に200km離れたクリャブの町はずれの谷間に住むノシロフさんは36才。彼はこの4年間で13人の親類家族を結核(TB)で亡くしたという。
「最後に亡くなったのは僕の娘と弟だった」「僕は二人を同じ日に埋葬したよ」と語るノシロフさん。この地域に住むほとんどの人々が彼のような経験をしている。そんな地元の墓地は新しい墓が目立って多い。
タジキスタンで最も大きな公衆衛生問題のひとつに結核(Tuberculosis)がある。2006年のWHO(世界保健機構)の調べでは人口10万人対の患者数は204人と推定され、ヨーロッパ先進国の15人と比べても10倍以上の差がある。(日本は2002年の調べで25.8人)しかし、タジキスタン政府保健省が発表した数字は75人と少ない。
結核感染の大きな理由に貧困問題がり、国民の半数以上が貧困層のタジキスタンでは適切な医療を受けることが難しい。特にノシロフさんが住むような地方の村では無いに等しい。
彼の家族は皆同じ病院で治療を受けたが、何の助けにもならなかったという。水や電気、ヒーターの心配をしなければならない病院、タジキスタンの地方医療施設はソビエト崩壊後から変わっていないのである。WHO2008ヘルスレポートでは一人当たりの年間医療費は100ドル以下。そんな昨年7月にはドイツ開発銀行が3百万ドル以上寄贈した。
国連開発計画(UNDP:United Nations Development Programme)によれは、タジキスタンの結核問題にグローバルファンドは4千万ドル以上の資金供給を認めているという。「国際社会は技術、資金ともに援助する用意がある」とUNDPのマネージャーは政府がその問題を取り扱う必要性があることを強調した。
9 Jan 2009