オーガニック

Organic 2009

One-way ticket
ディアウ・ケイタさんは去年マリに帰国するまで16年間パリで生活していた。彼はフランスで仕事をして税金も支払っていたが、一度も永住権を取得しようと考えたことがなかった。
昨年10月のある日、地下鉄駅の構内で警察官の職務質問を受けたケイタさんは不法滞在者としてその日のうちにマリに送還されたのである。
現在フランスには何万というマリ人が不法滞在している。フランス政府はこれ以上の流入を防ぐとともに、彼らを本国に送還し、そしてこれらの国々と移民協定を結ぼうとしている。
フランス当局にとっての一つの問題は彼らが不法にフランスに滞在するマリ人を見つけた際に、彼らを本国に送還するために必要となる書類をもっと敏速に大使館や領事館に発行してもらうことである。その見返りにフランスは特定数の就労ビザを毎年発行し、マリへの開発援助も行うというものである。
すでにフランスは他のアフリカ諸国(セネガル、ガボン、コンゴ共和国、ベニン、チュニジア、モーリシャス、ブルキナファソ、カボベルデ)と類似の協定に署名している。
しかし、マリのアマドゥ・トゥマニ・トゥーレ大統領はこの協定に対し慎重な態度を崩さない。その大きな理由として不法滞在者から送られてくる巨額の賃金がるからだ。それには両国に股がる移民グループも猛反発している。
マリはすでにスペインと移民協定を結んだ。その結果、毎月スペインから強制退去を命ぜられた人々がチャーター便でバマコに到着している。
彼らの多くはディアウ・ケイタさんのように何のあてもなく慣れないバマコの街を歩き回る。ケイタさんはフランスでは月に1,000ユーロ以上の収入を得ていた。しかし、今はバマコでバスに乗るための20セントも持っていないのである。
19 May 2009