オーガニック

Organic 2009

Climate change challenge
ラテン・アメリカの国々の中でもチリは近年最も輸出ブームに沸いた国である。その主な輸出品がワインや木材パルプ等であるが、チリの科学者によれば気候変動がそれらの農産物に大きな影響を及ぼす可能性があると警告している。
報告によれば今後40年間に気温が1度から1.5度上昇することによって、雨量が10%から15%減少すると予測され、特に人口の集中する南北に細長い国土の中央部においてその影響は大きいという。
チリ中央部はブドウ栽培に適している。日中は絶え間ない日光に恵まれ、夜は適度な冷たさに覆われる。そして、アンデス山脈の雪解け水がそれらに豊かな水を与えるのである。チリのワイン輸出額はこの20年で2百万ドルから15億ドルにまで上昇。それはかつて輸出品の70%を占めていた銅が現在40%に落ち込んでいるのとは対照的である。
しかし、気温の変化がそれを変えてしまうかもしれない。ブドウ畑では気温が1度上昇することでさらに違った害虫などが生成する。すでにConcha y Toro(コンチャ・イ・トロ)などのワイナリーは南の区域の土地を買い始めているという。
さらに大きな問題として取り上げられているのが水の問題である。チリも他のアンデス山脈の国々と同じように氷河が融け始めているのはよく知られている。少ない雨量、少ない雪解け水と氷河に蓄えられた少ない水が夏の間に水不足を引き起こすと言う。
サンティアゴ大学の地球環境研究センターの計算によればこのまま温暖化が進めばチリ中央部の大きな水源となっているマイポ川の水量は2065年までに70%に落ち込むと算出された。それは毎秒170平方メートル流れている河の水が60平方メートル減少することをになる。
電力の半分以上を水力発電に頼っているチリ中央部。そんな中、チリ政府は石炭を原料とした火力発電所を建設することを計画した。世界の温室効果ガス排出国に比べればチリの排出量は微々たるものだが、ラテン・アメリカの国々の中では上位に入る。
国家エネルギー委員会によれば2020年までに火力発電による電力供給量が全体の25%を占めるというが、それは現在の7千万トンの排出量が4倍に膨れ上がることを意味する。この悪循環に「気候変動は将来の問題ではない」「我々は早急により良い施設の調整と水管理が必要である」と同地球環境研究センターの教授は述べている。
23 May 2009