オーガニック

Organic 2010

Suicide city
ある作家が一人の自殺によって失われる魂はそれ以上だと語ったことがある。いま経済成長の著しいインドの首都ムンバイで十代の子供たちの自殺が多発している。
毎年10万人以上が自殺をするインド。ムンバイでは1日平均3人が自らの命を絶ち、その多くは15才から35才である。そして心理的、経済的な影響をその家族に与えている。すでに今年に入ってから1月26日までに32人の子供達が自殺をしているこの都市。それらは試験に対するプレッシャーから逃れるための行為が子供達に連鎖反応を起こさせていると心理学者や教師たちは考えている。
1月5日、12才の少女が学校のトイレで首を吊って自殺をした。そこのマンガラ・クルカルニ学校長は子供達がストレスを感じ始めているのを親が見抜く必要があると述べる。「子供達は学業の成功よりも、そこに多くの道があることを悟れない」「それは幼年期から家族によって理解させられるべきである」と彼女はいう。
学業のプレッシャーと親からの期待は今までにも存在した。しかし、ムンバイのような都市では両親が働いているのが普通で、子供達は独りで家にこもり、テレビを見ていることが多い。何よりも変わったのは子供達が他に依存しなくなったことだと心理学者は述べる。その結果、彼らは自らの失敗に対して自責の念を抱き極端な手段を選ぶのだという。
「私たちが14、15才で出来たことが、今の子供達は11才で出来てしまう」と言うのはムンバイの心理学者レア・ティンベカル医師。彼女は子供達の自殺が計画的な大人の行動と違い自然発生的であるという理論をくつがえす。 「もし、親が彼らの成功と失敗を無条件に受け入れ、愛することが出来れば、その数は軽減されるだろう」と彼女はいう。
世界の年間自殺者数は100万人以上、2020年には150万人を超えると言われている。WHO(世界保健機関)の事務局長補代理は「いま世界では自殺によって多くの命が奪われている」「それは殺人や紛争で奪われる数を上回る」「この状態を防ぐためにも、早急に世界的な対策を強化る必要がある」と述べる。
1 Feb 2010