オーガニック

Organic 2010

The space trees have landed
世界の目がバンクーバー・オリンピックに注目している最中、スペース・シャトル、エンデバー号が初めて宇宙で育った木を持って帰還した。
持ち帰った植物はシダレヤナギ(Salix babylonica)で、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載してある先端生物学研究システム(Advanced Biological Research System)の中で育った。ABRSは温度、明かり、大気の成分をコントロールできる実験箱である。
ニュー・ブランズウィック大学のロドニー・サヴィッジ教授に依頼を受けたカナダのボブ・サースク(Bob Thirsk)宇宙飛行士は彼のISS長期滞在中にシダレヤナギの新芽を無重力空間で育成した。
これは植物生物学者たちに「reaction wood」と呼ばれている生長の偏りから起こる材質の「陽疾」(ようしつ)形成の原因は重力であるとされていた仮説を裏付ける実験として注目され、さらにその形成のメカニズムを探る大きな手がかりになることが期待されている。実験が進めば節の無い木材も形成可能になるかもしれない。これは生物学者にとっては大きな発見であり、木材製紙業界にとっても非常に重要なことだ。
先にオバマ大統領がISSの運用を2016年から2020年まで延長すると発表したように、今後もさらにISSでの微少重力研究が盛んになるだろう。宇宙飛行士たちはそれらの科学実験を行うためにより多くの時間を費やすことになる。
今年で終了となるスペース・シャトル計画だが、最終打ち上げの一つ前に搭載される予定のアルファー磁気スペクトロメータ(Alpha Magnetic Spectrometer)AMSがある。これは反物質、暗黒物質、およびストレンジレットの証拠を探すために宇宙線を分析する粒子物理学実験装置で、現在オランダのノールトウェイク(Noordwijk)にある欧州宇宙機関(European Space Agency)ESAのテクニカル・センターで最終テストを行っている。
22 Feb 2010