フットボール・ワールド

One of a dying breed

ワールドカップ南米予選でここ5試合に勝ちがないアルゼンチン代表。そのキーマンと言えるのは北京オリンピックでもオーバーエイッジ枠で出場したリケルメだが、彼の起用にについては今も賛否両論がある。
「でかくて、早くて、強い」が要求される近代フットボールにおいて、リケルメのようなプレイヤーが居座る場所があるのか? 今それは多くのアルゼンティーナでさえ「No」と言うだろう。しかし、フットボールの魅力はさまざま方法でインタプリート/演じられることであり、そういった意味では時代遅れの彼のプレイを観ることは非常に興味をそそる。その一つがリズムの変化であり、彼の足下でスローダウンしたボールは予想もつかないキラーパスへと流れ出る。
今週末、アルゼンチンはホームでウルグアイと対戦するが、ここで思い出すのは前回のワールドカップ予選でペケルマン監督が初めてリケルメを代表に呼び戻した試合だ。リケルメのパスはウルグアイのディフェンスをずたずたに切り裂き、リバープレートのファンでさえ彼を絶賛した。そして、その2年後にはワールドカップのセルビア戦でカンビアッソのゴールをアシストし、世界のフットボールファンの心を捕らえた。まさにリケルメは中軸プレイヤーだった。
しかし、この2試合リケルメのプレイは精彩を欠いている。先月のパラグアイ戦ではテベスが退場になり、バシーレ監督は3日後のペルーでのアウェー戦に再調整せざる終えなくなった。その結果リケルメもリズムを創ることができずに苦しんだ。それでもアグエロ、メッシといったストライカーのためにパスを供給し続けたリケルメ。彼は誰にも真似できないようなパスを出すが、そこにはボールを持たないプレイヤーがプレイするからこそ、彼の選択肢がある。
リケルメは内向的ではあるが、利己主義ではない。多くのスタープレイヤーたちが個々の非凡な才能を特化して数ある賞を得ようとする中、彼はチームメイトの力を最大限に生かすチームプレイヤーなのである。
8 Oct 2008

ワールドスポーツ

サッカー大好きな人のためのワールド・スポーツ情報。ニューヨーク、ロンドン、アムステルダムからのレポートを中心にお伝えします。